まず、
重点施策1、
感染拡大防止対策と
社会経済活動の両立についてであります。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、市民の生命と健康に不安を与え、
社会経済活動が停滞し、さらに、
雇用情勢を悪化させ、将来の生活不安へとつながっていきます。この負の連鎖を断ち切るためには、感染症の
拡大防止を図るとともに、
市民生活や
事業活動を維持するための支援に全力を注ぐことが重要であります。感染症の
拡大防止については、
市ホームページ等を通じた市民一人一人への3密回避など新しい
生活様式の奨励や市が提供するはちのへ
withコロナあんしん行動サービスの
利用促進などの呼びかけにより、
感染予防対策の周知を図るとともに、市民への
新型コロナウイルスワクチン接種を速やかに実施してまいります。
また、
感染拡大に対する万全の備えを講じていく必要があるため、八戸市医師会との連携により、引き続き
PCR検査センターの運営を行うほか、青森県との連携の下、陽性者を受け入れる病床の確保や
医療機器の整備などを進め、
検査体制・
医療提供体制を強化してまいります。
社会経済活動につきましては、感染症の拡大により取り巻く環境が変化している中にあっても、
市民生活や
地域経済への影響を最小限に抑えるため、所得が減少した市民に対して生活を維持するための支援に取り組むとともに、厳しい
経営状況の中で経営を続けている事業者に対する支援や
事業継続のための
相談体制を整備してまいります。
次に、
重点施策2、
地域経済再興の推進についてであります。
ワクチンの普及等により
感染拡大が収まり、社会全体が感染症の終息に向かう回復期においては、
地域経済再興のための施策を展開していくことが重要であります。そのため、
地域経済を支える
中小企業、
小規模事業者が競争力、成長力を維持できるよう経営強化のための支援を継続するほか、新しい働き方、
生産性革命に取り組む市内の事業者が
専門家等から助言を受けることができる機会を設けるとともに、事業者が抱える課題解決のための支援などに取り組んでまいります。あわせて、
ポストコロナ時代において成長が期待される新
産業創出のための支援を行うとともに、産学官による共同研究や産学官が連携、交流する機会を創出してまいります。
また、感染症の世界的な流行によって海外との取引が寸断したことにより、
サプライチェーンの多様化が進み、今後は企業の
生産拠点が海外から国内へ移転する動きが想定されます。加えて、
大都市圏を中心とした感染症の拡大によって、働き方や
オフィス機能の在り方について見直しが進んだことで企業の
地方移転の動きも見られることから、今後、
サテライトオフィスの
立地誘導や本社機能を地方へ移転する企業に対する支援を講じるなど
企業誘致を推進していくとともに、
産業集積の基盤となる
八戸北インター第2
工業団地の整備に取り組み、雇用の
維持拡大を図ってまいります。
また、当市の
基幹産業の一翼を担う
農水畜産業においても、
地域経済再興を目指し、
生産体制の整備や農水産品の
ブランド化による販売力の強化などを進め、地域の特性を生かした
農水畜産業の振興に取り組んでまいります。特に水産業につきましては、全国的な
スルメイカ、サケ、
サンマ等の不漁や
後継者不足に加え、感染症の拡大により魚価が低迷するなど、依然として水産業を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。
このような中、昨年の八戸港全体の
水揚げ数量及び金額は、ともに全国10位でありましたが、
水揚げ数量は2年連続で6万トン台にとどまり、金額は53年ぶりに140億円を下回っており、当市においても全国同様の厳しい状況にあります。八戸港は常に全国上位の水揚げを誇り、我が国有数の水産物の一大供給基地としてその役割を果たしていることから、本年こそは、八戸港の主力魚種である
スルメイカ、サバの豊漁を願い、
水揚げ数量、金額とも増大することを願うものであります。
また、荷さばき所D棟が来年度より供用開始することとなり、これにより一連の荷さばき所の整備を終え、衛生管理の行き届いた施設で荷さばきすることが可能となります。これらの施設を活用して、消費者に安全安心で高品質な水産物を供給するという新たな価値を生み出す取組を推進するため、昨年、八戸市水産物ブランド戦略会議を設置いたしましたが、この戦略会議の意見を伺いながら、関係団体と連携し、当市で水揚げされる水産物の
ブランド化や販売ルートの確立に努めてまいりたいと考えております。
なお、稼働率が低迷しているA棟については、ここ数年の極端な不漁等により、施設の十分な能力を発揮できない状況となっておりますが、改善方策として、イワシとサバの混獲対策や水揚げ時間のさらなる短縮を図り、引き続き、業界関係者と協議しながら、国県に相談し、利用向上に努めてまいります。
続きまして、
重点施策3、切れ目のない少子化対策と地元定着・人材還流の促進についてであります。
当市の国勢調査人口は、平成7年の24万9358人をピークに減少が進み、平成27年には23万1257人となり、当市も他の地方都市と同様に少子化の進行による
人口減少が進んでおります。
一方、当市の人口1000人当たりの出生者数は直近6年連続で県内10市中2位を維持しており、これまでの施策の成果も現れてきております。
人口減少の克服には相当に長い時間を要するため、引き続き、市民が結婚、出産、子育ての希望をかなえ、安心して子どもを産み育てられる支援の充実を図る必要があることから、八戸版ネウボラ推進事業をはじめ、結婚を望む人に対する出会いの機会の創出、不妊治療に対する経済的な支援や
相談体制の整備、子育て世帯への経済的な支援を行うとともに、絵本等の活用を通じた親子の触れ合いのきっかけづくりに取り組んでまいります。
また、首都圏等への人口一極集中が全国的な課題となっており、当市においても若年層を中心として人口の流出が続き、地域で育った人材の流出は、将来における地域の担い手不足や地域産業の衰退につながります。地域と学校が連携して郷土に対する誇りと愛着を育む教育の機会を確保するとともに、若者の地元企業への就職に資するための機会の確保に取り組んでまいります。
さらに、
八戸都市圏交流プラザを活用した首都圏での当市の総合的な情報発信や全国で活躍する当市の関係者を通じた情報発信に努め、
関係人口の創出に取り組むとともに、移住に要する経費の助成や移住相談窓口の設置、運営により移住、
UIJターンを推進してまいります。
続きまして、
重点施策4、安全安心な
まちづくりの推進についてであります。
近年、激甚化、多発化している風水害や記録的な猛暑、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震といった大規模災害等に備え、地域における防災意識を高めるとともに、防災体制の強化やハード面での防災対策を進め、災害に強い
まちづくりを推進していく必要があります。そのため、地域における総合防災訓練の実施や国が新たに示した津波浸水区域を踏まえた津波避難計画の改訂に取り組むとともに、災害時における高齢者や障がい者等の要援護者への支援体制を整備してまいります。あわせて、感染症流行時における災害時に備え、避難所での
感染拡大の防止対策を講じるほか、災害時において人流、物流の両面を支える道路や老朽化した社会資本の整備等に取り組んでまいります。
加えて、近年における災害級の猛暑への対応や災害時の避難所整備として、小中学校の普通教室等へ冷房設備を順次設置してまいります。また、地域の防犯力の向上や生命を守る救急医療を提供する体制を整備するとともに、近年の核家族化の進行による社会構造やライフスタイルの変化を背景とした多様化する墓地ニーズへの対応を進め、市民が生涯を通じて安全安心に暮らせる
まちづくりを推進していく必要があります。そのため、市民に対する安全安心情報の発信や市内全小中学校の通学路へ防犯カメラを設置するとともに、ドクターカーの運行等の市民の生命を守る救急医療体制を整備するほか、墓地に対する市民ニーズの多様化に対応した合葬墓を整備してまいります。
続きまして、
重点施策5、共生社会づくりの推進についてであります。
感染症予防対策の一環として推奨された3密の回避などの新しい
生活様式の実践や感染症に対する市民の不安感がもたらす社会活動の停滞によって、住民間のつながりが希薄化する傾向にあります。相互に支え合い、誰もが活躍できる社会を実現するため、市民や事業者等と連携した協働の
まちづくりの推進や地域コミュニティーの振興を図るとともに、女性や高齢者、障がい者が社会参加しやすい環境の構築に取り組んでいく必要があります。そのため、NPO活動やボランティア活動が促進されるよう拠点の整備や活動資金に対して助成するとともに、協働の意識醸成や人的ネットワーク構築のための交流機会の提供に取り組んでまいります。
加えて、町内会、自治会等の活動支援を行うとともに、連合町内会連絡協議会等と連携し、町内会組織の基盤強化や地域活動のPRなどを行ってまいります。
また、高齢者、障がい者等が市内各所を移動しやすい環境を整え、社会活動や就労等へ参加するための支援に取り組むとともに、
関係機関や団体等と連携した見守りネットワークを構築するほか、認知症高齢者や身寄りのない高齢者、障がい者の増加を見据え、成年後見制度を利用しやすい環境を整備してまいります。
さらには、女性がスキルアップするための機会の提供や事業者等に対する意識啓発活動を行うとともに、男女共同参画の意識醸成に向けたセミナーの開催や情報誌の発行などに取り組んでまいります。
国際交流の促進と多文化共生の推進につきましては、
中小企業、
小規模事業者等の深刻な人手不足を背景として、全国的に日本で働く外国人労働者が増加する中、平成31年4月に改正、施行された出入国管理及び難民認定法による新たな在留資格の創設により、今後さらに地域で暮らす外国人が増えることが想定されます。さらに、ワクチンの普及等により
感染拡大が収まり、社会全体が感染症の終息に向かう回復期においては、これまでと同様に、国の観光立国政策により来日する外国人観光客の増加が見込まれます。そのため、八戸国際交流協会と連携し、市民と外国人住民との交流機会の提供や異文化理解の促進などを進めるとともに、行政情報、生活情報、観光情報等の多言語化や外国人住民の生活支援に取り組んでまいります。
続きまして、
重点施策6、魅力ある
まちづくりの推進についてであります。
令和3年度は、八戸久慈自動車道を含む三陸沿岸道路の全線開通が予定されているほか、北海道、北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録が期待されるなど、さらなる市勢発展を遂げる大きな好機となります。この好機を逃さぬよう、地域の魅力向上のための観光地域づくりや文化、スポーツの振興、都市機能の充実、良好な住環境の整備などを進め、魅力あふれる
まちづくりを推進していく必要があります。そのため、VISITはちのへと連携し、観光客等の受入れ環境の整備や多様な媒体を活用した観光PRなどにより観光振興を図ってまいります。
また、新美術館前広場の整備や八戸市公民館ホールの改修を進めるとともに、市民等が行う文化芸術活動への支援、多様な主体が参画するアートプロジェクトや市民のスポーツ活動への支援、スポーツイベントの誘致等に取り組み、アート、スポーツによる地域の活性化を推進してまいります。
新美術館に関しましては、昨年末に竣工し、現在、館内の空気環境を整える作業を進めるとともに、11月頃のグランドオープンを目指して、美術館前広場の整備やオープニングプロジェクトの実施に向けた準備を進めております。また、開館に先立ち、本年夏頃から館内の一部を一般開放し、プレ事業を実施することにより、オープンに向けた機運を高めてまいりたいと考えております。新美術館は、アートを通して、市民やアーティスト、スタッフ、専門家など様々な人々が対等な関係性の下で対話し、一緒に考え、実践することで、新たな価値観や発想を得るなど、アートを通した学びの中で人々が育まれていく、出会いと学びのアートファームを目指しております。従来の美術館のイメージとは異なるこれからの美術館の在り方を示す新しい世代の美術館として、皆様にとってたくさんの出会いと学びをもたらす新美術館に期待していただきたいと考えております。
また、都市機能の充実や良好な住環境の整備につきましては、八戸駅西地区における公園や市街地の整備を進めるとともに、陸奥湊地区や是川地区において地域のにぎわいを創出する拠点の整備に取り組むほか、空き家バンク等を通じたマッチング支援や空き家の利活用に関するPRを行うなどの空き家、空き店舗対策に取り組んでまいります。
続きまして、
重点施策7、地域社会の
デジタル化の推進についてであります。
国では、感染症対策の教訓を生かし、
社会経済活動全般の
デジタル化を推進する司令塔としてデジタル庁の速やかな設置に向けた準備を進めており、将来的に行政手続のオンライン化やオンライン診療、オンライン教育の規制緩和を行い、
デジタル化の利便性を実感できる社会を目指しております。当市においても、
市民生活の利便性向上を図るため、青森県の電子申請システムの共同利用などにより、行政手続のオンライン化を進めてまいります。
さらに、市内幹線を基軸とする公共交通網の維持や乗り継ぎ拠点の機能を強化するとともに、路線バスのキャッシュレス化に取り組むなど、デジタル技術の社会実装の推進を図ってまいります。
最後に、
重点施策8、暮らしの変化に対応した持続可能な
まちづくりの推進についてであります。
近年の
生活様式や価値観の変化、情報技術の進展などにより
市民生活の多様化が進むとともに、市民ニーズも個別化や高度化してきており、行政事務の複雑化が進んでおります。市民が快適な生活を送ることができるよう、時代とともに変化する市民ニーズに即した最適な行政サービスを提供するため、職員の能力向上や組織運営基盤の強化といった行財政改革を推進し、特に行政手続のオンライン化やICTを活用した業務の効率化に取り組んでまいります。
また、
人口減少、少子高齢化が進行する中で、地方公共団体には、
地域住民の暮らしを持続可能な形で支えていくことが求められております。当市においても持続可能な地域社会を形成するため、活力ある
社会経済を維持する地域の拠点として、近隣自治体との広域連携を推進し、地域が有する資源を最大限に生かした
まちづくりを進めるとともに、産業面での類似性など地域特性を生かした都市間連携を進め、その相乗効果による地域の活性化を図っていく必要があります。八戸圏域連携中枢都市圏ビジョンに基づく広域連携や北海道苫小牧市との交流連携協定に基づく都市間連携などの自治体間の連携を推進してまいります。
以上、今後の
市政運営について、主な分野における考え方や、その方向性について、令和3年度
市政運営方針の
重点施策を中心にるる申し述べてまいりました。
さて、
東日本大震災の発生から間もなく10年がたとうとしております。世界観測史上でも極めてまれで、日本観測史上、最大規模であるあの巨大な地震と津波によって、東北、関東の太平洋沿岸を中心に、まさに未曽有の人的、物的被害がもたらされました。改めて、震災によってお亡くなりになった多くの方々の御冥福をお祈りするとともに、被災し不自由な生活を余儀なくされて、今なお苦しまれている方々に心よりお見舞いを申し上げます。
当市では、震災からの迅速な復旧と
創造的復興を目指すため、平成23年9月に八戸市復興計画を策定いたしました。これまで、復興計画に基づき、官民一体となり、被災者や被災事業者への支援、津波避難路や津波避難施設の整備、公民館、児童館の耐震化、自主防災組織の活動支援、防災教育の推進のほか、地域ににぎわいや元気をもたらす観光、文化、スポーツの振興を図るなど、ハード、ソフト両面において、各種施策に全力を挙げて取り組んでまいりました。これらの取組により、当市が目指す復興の姿、より強い、より元気な、より美しい八戸の実現に向けて、復興は着実に進展していると考えております。今年度をもって復興計画期間は終了となりますが、震災を風化させることなく、後世にしっかりと伝承していくとともに、さらなる
創造的復興の進展と市民福祉の向上を目指し、引き続き、各種施策を推進してまいります。
私は、平成29年10月の市長選挙に当たり、政策公約を掲げて戦い、市民の皆様から御信任をいただき、政策公約の実現に向けて、ただひたすら全力で取り組んでまいりました。昨年11月には市長4期目、政策公約3年間の進捗状況を取りまとめたところであり、4つの政策分野の下、計30の
重点施策を掲げ、そのうち、実施が29施策、一部実施が1施策と全ての施策に着手しております。政策に対応する89事業については、この3年間で88事業を実施しており、市民の皆様にお約束した取組について着実に進めることができました。残りの1施策についても、事業の具体化に向けた対応を進展させ、全ての施策が実施できるよう努めてまいります。
今、当市は、全国的な傾向と同様、少子高齢化や
人口減少などにより多くの課題を抱えており、加えて喫緊の課題である
新型コロナウイルス感染症対策に全精力を注いでいる状況にあります。4期目の総仕上げである任期最後の令和3年度は、これらの困難な課題を乗り越えるべく、厳しく険しい年になろうかと思いますが、私が先頭に立ち、八戸の底力を信じ、
コロナ禍においても市民の安心安全を確保するとともに、
社会経済の回復、そして、八戸のさらなる飛躍に向け、全身全霊を傾けてまいる所存であります。どうか市民の皆様並びに
議員各位には、今後一層の御理解と御協力を切にお願い申し上げる次第であります。
さて、令和3年度の国の予算は、
新型コロナウイルス感染症の
拡大防止と
社会経済活動の両立を図りつつ、ポストコロナの新しい社会を実現するため、
医療提供体制の強化、
検査体制の確保をはじめとする感染症の
拡大防止策とともに、成長力強化のためのデジタル改革、グリーン社会の実現や生産性向上と継続的な賃金底上げによる好循環の実現、安全安心に向けた子どもを産み育てられる環境づくり、各地の災害からの復興や防災対応の強化など、重要な政策課題への対応を行うこと等を基本として編成されました。
その結果、令和3年度の
一般会計予算案は106兆6097億円となり、前年度と比較して3.8%の増となっております。
一方、令和3年度の
地方財政対策は、感染症の影響により地方税等が大幅な減収となる中、地方公共団体が行政サービスを安定的に提供しつつ、地域社会の
デジタル化や防災・減災、国土強靱化、地方創生の推進などの
重要課題に取り組めるよう、一般財源総額について、令和2年度を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本として講ずることとされており、
地方財政計画の規模は90兆2790億円、前年度と比較して1.6%の減となっております。
このような国の予算及び
地方財政対策の動向の下、当市の令和3年度予算については、長引く感染症の影響を受け、大幅な税収減が見込まれる厳しい財政状況と停滞する経済環境を踏まえ、
コロナ禍における事業の在り方の観点から、事業内容や事業費を精査しながら、経常経費の圧縮と市債発行額の抑制を図るなど財政の健全性に配意する一方、市政のさらなる前進に向けて必要な施策については重点的に予算配分することを基本として編成いたしました。
事業の選択に当たりましては、令和3年度
市政運営方針、第2期八戸市まち・ひと・しごと創生総合戦略及び第7次八戸市行財政改革大綱に基づき、持続可能な地域社会の形成に向けて、
市民生活の向上と福祉の充実を図るための各種施策について重点的に取り上げることといたしました。
また、近年、災害が激甚化、頻発化する中、令和2年度で計画期間が満了となる八戸市復興計画に掲げる復興理念を継承し、災害に強い
まちづくりに向けた施策を推進するほか、八戸圏域連携中枢都市圏の活性化に資する施策に取り組むことといたしました。
令和3年度予算の特色といたしましては、感染症の影響により歳入の大宗をなす市税の大幅な減収、具体的には15億円の税収減が見込まれる中で、義務的経費である扶助費、公債費の増嵩や介護保険及び後期高齢者医療制度への負担増などが見込まれることから、財政環境は大変厳しい状況にあります。
このような状況の中で、市民の安全安心と感染症の拡大が地域にもたらす影響を最小限に抑えることを最優先に、
新型コロナウイルスワクチン接種をはじめ、感染症対策に引き続き取り組むとともに、限りある財源を有効に活用しながら、子ども家庭総合支援拠点の開設や子ども医療費助成事業の対象拡大等による子育て支援や教育の充実、新美術館の開館等による文化・スポーツ・観光の振興のほか、健康・福祉の充実、防災・防犯対策の強化、産業・雇用の振興、都市基盤の整備など、総合的に市政を前進させる施策の着実な推進を図ることといたしました。また、国の第3次補正予算で拡充された地方創生臨時交付金等を活用した市の経済対策については、新年度のできるだけ早期に予算措置できるよう
関係機関と協議しながら、より効果的な取組の検討を進めてまいります。
このような方針の下に編成した令和3年度の予算の規模は、一般会計は912億円、前年度と比較いたしますと6.9%の減となりましたが、復興分を除く予算との比較では0.2%の減とほぼ同水準を確保しております。また、特別会計は521億4520万1000円、前年度比1.0%の減であり、一般会計、特別会計合わせた合計では1433億4520万1000円、前年度比4.9%の減、また、復興分を除く予算との比較では0.5%の減となりました。
以下、一般会計からその主なものについて、これまで取り組んできた市の
基本政策を着実に推進する観点から、令和3年度
市政運営方針における
基本政策の体系に沿って御説明申し上げます。
子育て・教育・市民活動においては、新たに、要保護児童等に対する支援の強化を図るため、子ども家庭総合支援拠点事業費を計上するほか、子ども医療費助成事業費では、令和4年1月から未就学児世帯の所得制限緩和による対象の拡大を図るため必要な経費を計上いたしました。また、こども支援センターの教育相談・適応指導教室事業費、中学校部活動の指導員配置事業費及び学校図書館支援事業費を拡充し体制の充実を図るとともに、幼児教育・保育の無償化関連事業費や保育施設整備事業費、小中学校騒音防止対策費など、子育て支援や学校教育の充実等に必要な予算を計上いたしました。
産業・雇用においては、新たに、大都市部から地方への移転を促す本社機能移転支援補助金やおためし
サテライトオフィス誘致事業費、浜の活力再生に向けた広域プラン策定経費を計上するほか、ほんのり温ったか八戸移住計画支援事業費や水産物ブランド戦略事業費、新産業団地整備事業費、企業立地促進奨励金など、雇用環境の整備促進や産業振興等に必要な予算を計上いたしました。
防災・防犯・環境においては、新たに、津波避難計画等の見直しを行うための津波防災対策事業費や一般廃棄物処理に係る基本計画等の策定経費を計上するほか、八戸地域広域市町村圏事務組合に対する常備消防費、し尿及びごみ処理負担金、一般廃棄物最終処分場の被覆施設移設事業費など、消防・救急体制や環境保全の整備等に必要な予算を計上いたしました。
健康・福祉においては、
新型コロナウイルスワクチン接種事業費をはじめとする感染症対策経費を計上するほか、民生委員・児童委員活動費や不妊治療費助成事業費を拡充するとともに、老人福祉施設、社会福祉施設の施設整備に対する補助金や市民病院事業会計、介護保険及び後期高齢者医療制度への負担金など、保健、医療や介護、高齢者支援の充実等に必要な予算を計上いたしました。
文化・スポーツ・観光においては、本年開館する新美術館のプレイベント・オープニングイベント事業費、企画展開催経費を計上するほか、氷都八戸パワーアッププロジェクト事業費を拡充するとともに、第3期八戸ポータルミュージアム中期運営方針に基づく自主事業費や
八戸都市圏交流プラザの運営事業費、新井田公園テニスコート整備事業費をはじめとするスポーツ施設整備事業費など、文化芸術、スポーツ、観光の振興に必要な予算を計上いたしました。
都市基盤・公共交通においては、本八戸駅通り地区整備事業費、3・5・1沼館三日町線都市計画事業負担金、バス路線の廃止に伴う南郷コミュニティタクシー運行事業費を計上するほか、(仮称)八戸駅西中央公園整備事業費、道路、市営住宅、公園施設等の長寿命化事業費、下水道事業及び自動車運送事業会計に対する負担金、補助金など、市街地、道路網の整備や地域交通の確保等に必要な予算を計上いたしました。
これらの歳出予算に対して、歳入予算につきましては、市税282億円、地方交付税157億円を計上したほか、国・県支出金、市債等は歳出予算との関連において計上いたしました。また、財政調整基金及び市債管理基金からの繰入れは、合わせて14億円を計上したところであります。
次に、企業会計及び特別会計の主なものについて、その概要を御説明申し上げます。
まず、企業会計では、自動車運送事業会計において、建設改良費として乗合バス購入費を計上いたしました。市民病院事業会計においては、建設改良費として
医療機器購入費を計上いたしました。下水道事業会計においては、管路、処理場、ポンプ場の建設改良事業費を計上いたしました。特別会計では、都市計画土地区画整理事業特別会計において、八戸駅西地区における建物移転補償費、街路築造工事費を計上いたしました。霊園特別会計においては、東霊園内への合葬墓の整備工事費を計上いたしました。産業団地造成事業特別会計においては、分譲用地の造成工事費等を計上いたしました。
次に、議案第18号から議案第33号までの令和2年度八戸市
一般会計補正予算及び各特別会計補正予算の主なものについて御説明申し上げます。
議案第18号
一般会計補正予算は、歳入歳出それぞれ1億7878万1000円を増額するものであり、既決予算と合計いたしますと、総額は1299億3561万5000円となるものであります。
歳出補正予算の主な内容は、新たに、企業版ふるさと納税を活用して民間主導による八日町番町地区
まちづくり調査事業への補助金を計上するほか、認定こども園等における施設型等給付費、市民病院事業会計に対する負担金などを追加計上するとともに、
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、年度内の実施を見送った事務事業費等について計数整理をいたしました。
歳出補正予算に対応する歳入につきましては、地方交付税、国庫支出金、市債等により措置いたしました。
続きまして、人事案件及び条例案等の主なものについて御説明申し上げます。
まず、議案第34号は、八戸市
固定資産評価審査委員会の委員であります谷地良子氏の任期が来る3月31日をもって満了となることに伴い、谷地氏の後任として犾守純子氏を選任することについて同意を求めるものであります。
犾守氏は、人格が高潔で、長く会社経営に参画されているほか、八戸商工会議所女性会理事を務められ、広く経済界に精通するとともに、住民及び納税者の代表として、多角的かつ率直に審理に当たることができる知識と経験を有していることから、同委員として適任であります。
議案第35号は、
人権擁護委員であります板橋玲子氏、中村光雄氏、川畑豊勝氏の3名の委員の任期が来る6月30日をもって満了となることに伴い、中村氏、川畑氏は引き続き推薦をし、板橋氏の後任には新たに古里都子氏を推薦することについて意見を求めるものであります。
中村氏は平成30年から1期、川畑氏は平成21年から4期、同委員を務められ、この間、相談業務や啓発活動等の職務を適切に遂行され、その重責を全うしており、同委員として適任であります。
また、古里氏は、人格が高潔で、高等学校教諭として勤務された後、平成9年から社会福祉施設に勤務され、施設長や管理者を務められるなど、広く社会の実情に通じ、優れた識見と豊富な経験を有していることから、同委員として適任であります。
議案第36号は、市長等の市に対する
損害賠償責任の一部免責に関し、必要な事項を定めるためのものであります。
議案第37号は、一般奨学金の償還開始時期について見直しをするとともに、志願資格等に係る規定の整備をするためのものであります。
議案第38号は、本年3月限りで失効する企業立地促進のための奨励金交付制度を2年間延長するためのものであります。
議案第40号は、八戸市
総合保健センター建設事業第2期工事の請負契約を締結するためのものであります。
議案第41号は、
新型コロナウイルスワクチン接種事業費及び除雪経費の増額のため、令和2年度八戸市
一般会計補正予算を定めることを処分したものについて、その承認を求めるものであります。
議案第42号は、辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律第3条第1項の規定により、辺地における公共的施設の総合的かつ計画的な整備の促進を図ることを目的とした八戸市
辺地総合整備計画を定めるためのものであります。
議案第45号は、新美術館の完成に伴い、その管理について必要な事項を定めるためのものであります。
議案第47号は、調理機能付自動販売機営業許可申請手数料等の額を定め、行商登録申請手数料等を廃止し、建築物エネルギー消費性能確保計画適合性判定手数料等の区分を変更するとともに、その他所要の改正をするためのものであります。
議案第48号は、乳幼児に係る子ども医療費の給付の対象となる保護者の所得制限を緩和するためのものであります。
議案第49号から議案第58号まで及び議案第62号から議案第70号までは、基準省令の改正に伴い、利用者に対する虐待の防止及び非常時における対応の強化その他所要の改正をするためのものであります。
議案第60号は、
地方税法施行令の一部改正に伴い、国民健康保険税の減額に係る基準について規定の整備をするとともに、低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得に係る課税の特例を設けるためのものであります。
議案第61号は、第1号被保険者に係る保険料率を改定するとともに、介護保険法施行令の一部改正に伴う保険料率の算定に関する特例の創設及び譲渡所得に係る特別控除について規定の整備をするためのものであります。
議案第71号は、消防団員の資格に係る年齢の上限を引き上げるためのものであります。
議案第75号は、
地方自治法第252条の36第1項の規定により、
包括外部監査契約を締結するためのものであります。
以上、上程されました議案の主なものについて、その概要を御説明いたしましたが、細部につきましては、議事の進行に伴い、詳細に御説明申し上げます。
なお、ただいま御説明いたしました議案のうち、議案第34号及び議案第35号につきましては、本日御審議くださるようお願い申し上げます。
何とぞ全議案とも原案のとおり議決を賜りますようお願い申し上げ、議案の説明を終わります。
〔
市長小林眞君降壇〕
○議長(
森園秀一 君)この際、お諮りいたします。
ただいま議題となっております議案のうち、議案第34号八戸市
固定資産評価審査委員会の委員に選任する者につき同意を求めることについて及び議案第35号
人権擁護委員の候補者に推薦する者につき意見を求めることについてを本日審議いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
森園秀一 君)御異議なしと認めます。
よって、議案第34号及び議案第35号を本日審議することに決しました。
お諮りいたします。
以上の人事案件は、
会議規則第37条第3項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
森園秀一 君)御異議なしと認めます。
よって、委員会の付託を省略することに決しました。